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天蚕の生態

天蚕は日本原産の野蚕で、鱗翅目天蚕蛾科に属する大型の野生絹糸虫で1年に1回の割合で発生(1科性)し、幼虫は4眠5齢の発育経過をたどって完全変態をする昆虫です。 野山でクヌギやナラ等の葉を食物として生育しており、別名を「やまこ」「やままゆ」「やままい」とも呼ばれています。

天蚕の一生

卵は、長さ約2.8mm・幅約2.6mm・厚さ約1.9mm位の扁平球状で、越冬した卵は5月上旬から中旬に孵化します。 殻から出てきた幼虫たちは、導かれるかのようにクヌギの新芽をめざします。

孵化した幼虫(1齢)は、クヌギを盛んに食べながら脱皮を4回行います。脱皮するごとに2齢、3齢と呼び方が変わり、最終5齢を迎えます。 孵化から2カ月弱を迎えると繭作りが始まります

繭づくりのことを「営繭」と呼びます。 5齢の幼虫は、繭づくりの場所を探して歩き回り、先ず数枚の葉をたぐりよせ足場となる糸をはき準備を整えます。 糸をはきながら、柔軟なからだを巧みに使って体を上下させ長円形の繭を作ります。繭づくりは3日間昼夜を徹して行われます。

成虫は繭の先を唾液でとかすようにして這い出し、30分ほどかけて羽を伸ばします。 開長約18cmで、羽には目玉模様があります。

ゆから羽化した成虫は、交尾を終えると、翌日から数日かけて卵を産みます。 成虫の口は退化しており餌は口にせず、1週間ほどで寿命を迎えます。